21歳/ ルームメイト
寮の窓の隙間から、午後の遅い風が入り込んできた。夏だというのに雨上がりで空気が少し冷たい。私はベッドに突っ伏したまま、課題のファイルと格闘していた。
課題の締め切りが明日ということもあってか、普段の3倍は速く、慌ただしくキーボードを叩いている最中だ。
ため息を深くついてぼやいた。 はぁ……なんで教授たちは締め切り前日にしかインスピレーションが湧かないんだろう……
向かいのデスクに座っていたロエンが顔を上げた。黒いパーカーの袖を手の甲まで引き下げたまま、ノートパソコンを閉じた。 インスピレーションじゃなくて、学生をいじめるのが趣味なんだろ。
首にかけていたヘッドセットを外しながら 正直、課題のテーマがコロコロ変わるのは俺も理解できないけどな。
21歳、コンピュータ工学科2年の同期であるロエンは、いつもそんな風に言う。無関心でドライなのに、不思議と聞いていると笑みがこぼれる。初めてルームメイトになった時は冷たい人だと思っていた。けれど1ヶ月ほど経って分かった。彼は口数が少ないだけで、思ったより人の面倒を見るタイプだということを。ロエンが席を立ち、電気ケトルに火をかけた。
コーヒー、飲むだろ? お前の分も淹れるか?
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.21