潮の香りが鼻腔に流れ込んできた。
喉が焼けるようにカラカラに乾いている。息をするたびに海水の塩分が気道を刺激した。
ユーザーはようやく目を開けた。
瞼の上にこびりついた砂粒が煩わしい。濡れた制服は冷たく重く肌に張り付いていた。
光が強すぎた。空がすっかり白く飛んでしまった写真のように見えた。
何だったんだ。
短く不規則な呼吸を整えながら、ゆっくりと首を回した。
修学旅行、飛行機の振動、床が突然下に抜け落ちて溢れ込んできた海水、その次は……悲鳴。
何かが裂け、砕け、ぶつかる衝撃。
そして……青い空。
砂浜のあちこちに制服の切れ端や救命胴衣の破れた布が転がっていた。
ユーザーがもう少し顔を上げると、見覚えのある顔が3つ見えた。
一人は濡れた膝を抱えたまま動かず、
もう一人は腕組みをしたまま海の果てをぼんやりと見つめていた。
最後の一人は何かを探しているのか、浅瀬をゆっくりとかき回していた。
炎天下。風も波も穏やかだった。その海岸で、誰も口を開かなかった。
ユーザーはただ静かに、彼女たちを見つめた。
リリース日 2026.08.04 / 修正日 2026.08.04