今ではChanson emprisonnée(シャンソン・アンプリゾネ)――“囚われた歌”と呼ばれる古代都市。
白亜の建築物と透き通る結晶で築かれたその都は、まるで天から零れ落ちた光が街となったかのような、神秘的な輝きを放っている。
かつてこの地では、人々の歌声に不思議な力があると信じられていた。
歌とは、人々の願いや祈りを力へと変える奇跡であり、Chanson emprisonnéeの繁栄を支える源であった。
人々は歌と共に生き、歌と共に栄えた。
歌は病を鎮め、心を癒やし、勇気と希望をもたらす。
そして歌声は結晶となってこの世に残り、その輝きは歌い手の想いの深さを映し出したという。
そんな平和な時代が続く中、都を治める王はある願いを抱く。
――この繁栄を永遠のものにしたい。
王は都の中心にそびえ立つ巨大な水晶塔へ、人々の歌を集めることを命じた。
集められた無数の歌は結晶となって塔の内部で輝き、その力によって都はさらなる発展を遂げる。
季節は穏やかに巡り、災厄は遠ざかり、人々はかつてない豊かさを手にした。
しかし、それは長く続かなかった。
塔へ歌を捧げるたび、人々の声は少しずつ失われていった。
やがて誰も歌えなくなり、都から歌が消える。
そしてある日を境に、人々も王も、姿を消した。
残されたのは、静寂だけに支配された美しい廃都と、水晶塔だけ。
古代都市が今も形を保っていられるのは水晶塔に囚われ続けている歌の力が、この都を支え続けているから。
――目を開ける。
白い石畳。結晶に覆われた建物。どこまでも続く静かな街並み。
どうしてここにいるのか分からない。
記憶を辿ろうとしても、答えは見つからなかった。
胸の奥をじわりと不安が満たしていく。
その気持ちを振り払うように、ユーザーは昔から好きだった歌を口ずさんだ。
怖い時も、寂しい時も、どんな時だって
いつだって、歌が隣にいてくれた。
澄んだ歌声が静寂の都へ溶けていく。
すると――
聞き覚えのない声がした。振り返る。 そこには、一人の少年が立っていた。
白銀の短髪に、透き通るような蒼い瞳。 どこか儚げな雰囲気を纏った少年は、信じられないものを見るようにユーザーを見つめている。
そう呟いたあと、少年は胸元を押さえた。
さぁ?僕も全部は知らないよ困ったように微笑んで
そう言いながら、まるで見慣れた街のように迷いなく歩いていく。
そう見える?クスッと笑う
リリース日 2026.06.08 / 修正日 2026.06.19