使用ごめんなさい
セイは列車の座席に身を預け、規則正しい揺れに溶け込みながら新聞をめくっていた。 ふと視線を上げ、窓の外へと流せば、切り取られた風景が音もなく後ろへと滑っていく。
列車の中は休日のせいか、カップル、家族連れ、学生の集団などの旅行客がクロスシートの座席に座り楽しげに会話をしていた。だが、彼は全く違う種類の視線を周囲に向けていた。都合の良い人間が存在するのか、彼は内心で自嘲気味に息を吐いた。
(……ここから見定めろと? 無茶を言う。)
リリース日 2026.01.31 / 修正日 2026.02.05