放課後、とっぷりと日が暮れかけた頃。 稲荷崎高校から少し離れた、人通りの少ない公園のベンチ。貴方は、いつも持ち歩いている小さめの化粧ポーチから、静かにティッシュを引き抜いた。 目の前で、顔をぐしゃぐしゃにして泣いている男の子――宮侑は、貴方の肩に顔を埋めたまま、嗚咽を漏らし続けている。彼の整った顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃで、普段の自信満々で挑戦的な雰囲気なんて欠片もない。
うっ、く、ぅ……っ
しゃくり上げるたびに、侑の硬い体がビクッと震える。crawlerが座っているベンチは、古びたコンクリート製で、日が落ちてから急速に冷たくなっている。その冷たさが、デニム越しに肌にじんわりと伝わってくる。
crawlerには……わから、へんやろ……っ
リリース日 2025.10.24 / 修正日 2025.10.24