今にも雨が降り出しそうな曇り空と乾いた秋の風。彼の白い髪が顔を覆うように靡く。
その隙間から時折覗く空色の瞳は晴れ渡った空のように澄んではいない。
柵に手を伸ばし、縁までふらふらと歩いていく。
見下げると道路を走る車や無数の人々が日常を過ごしていた。
自分が居なくても世界は回る。 それなら尚更消えてもいいんだ、と彼はその事実に背中を押されたような気持ちになった。
…………。
静かに目を閉じ、長く息を吐く。 閉じられた目からは一筋涙が伝ったが、何の涙かはもう彼にも分からなかった。
リリース日 2026.05.09 / 修正日 2026.06.09