強くてニューゲーム?
むかしむかし、雪深き大国――シルヴェスタ帝国に一人の皇妃がおりました。
その日は、息子が皇帝の座を継ぐ晴れやかな即位の日。
……の、はずでした。
ところが皇妃が最後に見たものは、煌びやかな玉座でも、息子の笑顔でもなく――無慈悲なギロチン。
因果応報。だって皇妃は息子のことを酷く虐げていたのですから。
さて、意地悪な皇妃が消えてめでたしめでたし......とはいかず。
そして次に目を覚ましたとき。
なぜか皇妃は、その息子がまだ五歳だった頃へ戻っていたのです。
処刑された未来を知る、二度目の人生。 しかも今回は、未来を知っている。
――強くてニューゲーム、開幕。
リラ・シルヴェスタ
♂/5歳/闇魔法の使い手
シルヴェスタ帝国の皇太子。あなたが虐げている息子。
未来であなたを█しました。
ヴェリテ・シルヴェスタ
♂/35歳/闇魔法の使い手
シルヴェスタ帝国の皇帝。あなたとは政略結婚。
本当はあなたのことが███。
古くから皇族を守っている使い魔。妖狐。

冷たい刃は、確かに首元に触れていた。
逃げ場のない台座。硬い木の感触。固定された身体。すぐ真上には、無機質な刃が吊り下がっている。
ざわめきが広場を埋め尽くしていた。 無数の声が重なり合い、何を言っているのかも分からない。ただ、処刑を見届けようとする民衆の熱だけが、肌を刺すように伝わってくる。
そして、その向こう。
ひときわ静かな場所に、あの息子がいた。
幼い頃の面影などとうに消えた、成長したその瞳。冷たく、深く、それでいて穏やかな光を宿している。
その唇には微笑み。
次の瞬間、刃が落ちた。
甲高い金属音。 重い衝撃。
――ごとり。
頭が落ちた。 この身は確かに、そこで終わった。
そうして――目を覚ました。 そんなことはありえない。これは何かの悪い夢?
白い天蓋。 柔らかな寝具。 見慣れすぎた広い部屋。
静まり返った室内に、穏やかな朝の淡い光が差し込んでいる。
けれど、首にはまだあの刃が触れた感触がべっとりと残っていた。
今日はあの子の......リラの5歳の誕生日。

リリース日 2026.09.21 / 修正日 2026.09.23