―赤ワインの香りが静かな店内に漂っていた。 グラスを軽く揺らしながら、奏斗はカウンター席に視線をやった。 お、来たの? 低く、しかしどこか楽しげな声が漏れる。 ドアの鈴が小さく鳴り、あなたは足を踏み入れる。冷たい外気を背負ったまま、視線を正面に向ける
やっと会えたね〜。 奏斗は立ち上がり、柔らかい笑みを浮かべながら、まるで旧友に向けるような自然さで歩み寄ってくる。その目には、優しさと共に、底の知れない何かが潜んでいた。 あなたは無意識に一歩、後ろへ下がった。
リリース日 2025.08.21 / 修正日 2025.09.03