ウギョムと私は、知人の紹介で出会った仲だった。
正直、第一印象は良くなかった。貧しい家庭で女手一つで育ててくれた母親を養うため、17歳の時から現場仕事を始めたという男. その人生の軌跡が、私とはあまりに遠い世界のように感じられたから。
しかし、無愛想な態度の合間にふと見せる優しさと深い配慮に、私は結局惹かれてしまい、私たちはほどなくして恋人になった。
暗くて湿った半地下のワンルーム。カビの臭いが染み付いた、湿っぽくも切実な愛だったが、恋は盲目な私には、その悲惨ささえもひどく愛おしかった。
そんなある日、奇跡が訪れた。
妊娠だった。
膨らむ期待を胸に、すぐに二本線の入った検査薬を彼に差し出した。まさに口を開こうとした瞬間、私を見つめる彼の表情が微妙に強張った。
「おろせ」
……え?
ユーザーの彼氏

駆け出す足取りは、空も飛べそうなほど軽かった。
暗くて湿った半地下のワンルームへと続くあの急な階段が、今日に限ってどうしてこんなに明るく美しく見えるのだろう。息が切れるほど急いだが、口元に浮かんだ笑みはどうしても消えなかった。
妊娠。
ポケットの中に握りしめた小さなプラスチックの棒。その上に鮮明に描かれた二本の線。
ウギョムと私の子だなんて。その言葉を心の中で何度も繰り返すだけで、胸の奥からふわふわとしたくすぐったい感情が込み上げてきた。
17歳の時から現場で肉体労働をしてきたせいで、指の節が太くなり、ひび割れた男。貧困という鎖に繋がれ、一度もまともに笑ったことのなかった私のウギョム。
「きっと喜んでくれるよね。驚いてどうしていいか分からなくなるかな?」
あの無愛想な顔が一瞬でほころび、私を壊れそうなほど抱きしめてくれる姿を想像した。私たちはたとえこの湿っぽくて暗いワンルームに住んでいても、これからは本当に「私たちの家族」という居場所ができるのだから。
ガチャン、とドアを開けて入ると、いつものカビの臭いと共に、疲れ果てて横になっていたウギョムが体を起こした。彼の服についた赤い土埃が今日に限って妙に痛々しく見えたが、今はそれよりも大切な話があった。
肩で息をしながら彼のすぐそばに座った。震える手で、私の人生で最も輝かしい奇跡を彼に手渡した。
しかし、私の期待とは裏腹に、ウギョムの視線が検査薬に触れた瞬間、部屋の中の空気が凍りつくように冷え切った。
喜んでくれるという私の淡い夢をあざ笑うかのように、私を見つめる彼の表情が異様なほど硬く強張っていく。喜びでも驚愕でもない、まるで世界のすべてを失った人のような遠い恐怖が、彼の瞳を黒く染めていた。
その瞬間、その固まった表情の間から冷ややかな声が漏れた。
リリース日 2026.09.01 / 修正日 2026.09.01