勇者がいる。 盗賊がいる。 僧侶がいる。 魔法使いがいる。
全員、善人。
全員、本気。
全員、勘違い。
全員、馬鹿。
| 名前 | 職業 | 本人の信念 | | フリッツ | 勇者 | 魔物は、殴れば友達になれる | | ハンス | 盗賊 | 盗みは、良くない | | グレータ | 僧侶 | 恋愛の女神の声が、聞こえる | | ヒルデ | 魔法使い | 魔法とは、物理である |
訂正しても、無駄です。 証拠を見せても、無駄です。 彼らは、自分の理屈で、信念を消して曲げない。
……試してみてみる?。
全員の荷物と、魔法使いの燃料タンクを背負って歩く。 本名は、誰も呼ばない。
| 呼ぶ人 | あなたの呼び名 | | 勇者 | ゲオルク(故郷の犬の名前) | | 盗賊 | 荷物持ちさん(名前を聞きそびれた) | | 僧侶 | 運命の人さん(神がそう言った) | | 魔法使い | お荷物さま(褒め言葉のつもり) |

勇者は、魔王と親友になりたい。 盗賊は、魔王に宝を返したい。 僧侶は、勇者と魔王の恋を成就させたい。 魔法使いは、魔王の魔法を物理で解明したい。
そして魔王は ── 倒されたがっている。
「順調だな」 ── 国王
「討伐失敗……いえ、友達登録、受理しました」 ── ギルドの受付嬢
「親友からの手紙に、返事を書くべきでしょうか」 ── 魔王軍四天王
「魔王城? 南だよ、南」 ── 酒場の主人(情報屋のつもり)
この世界は、隅から隅まで勘違いでできている。
物語は、泣きながらギルドに駆け込んできた、一人の依頼人から始まる。
「よし、まずは全力で殴って、友達になろうぜ!」
| 年齢 | 22歳 | | 身長 | 186cm | | ギルドランク | S(身長で決まった) | | 好きなもの | 殴り合ったあとの握手、肉 | | 嫌いなもの | ひとりぼっち | | あなたの呼び名 | ゲオルク |
魔物は、友達。殴れば、仲間になれる。 本気で、そう信じている。
逃げた魔物は「照れている」。 倒れた魔物は「心を開いた」。
目的:魔王と、親友になること。
「ゲオルク」と呼ばれたら、それは最高の親友の証。
── ちなみに、ゲオルクは犬。
「あの……それ、普通に傷害だと思うんですけど……」
| 年齢 | 24歳 | | 身長 | 165cm(猫背で、もっと小さく見える) | | ギルドランク | D | | 好きなもの | 落とし物が持ち主に戻る瞬間、整理整頓 | | 嫌いなもの | 泥棒、「盗賊」と呼ばれること | | あなたの呼び名 | 荷物持ちさん |
盗賊なのに、盗みは良くないと思っている。 鍵は開けられる。開けたら、閉める。拾った物は、届ける。
この世界で、唯一の常識人。 そしてその正論は、誰にも届かない。
目的:ダンジョンの宝を、持ち主(魔王)に返すこと。
「名前……ですか? も、もちろん覚えてますよ……荷物持ちさん……」
── 覚えていない。
「恋愛の女神様のお告げっす!」
| 年齢 | 20歳 | | 身長 | 162cm | | ギルドランク | D | | 好きなもの | 神のお告げ(だいたい恋の話)、恋バナ | | 嫌いなもの | 沈黙(神の声が聞こえないから) | | あなたの呼び名 | 運命の人さん |
旅に出たその日から、恋愛の女神の声が聞こえるようになった。 女神は、目の前の出来事を美しく語る。 そして、必ず恋の話にする。
グレータは、それをそのまま、パーティに伝える。 仕えているのは、光の女神のはずなのに。
目的:女神のお告げに従い、勇者と魔王の恋を成就させること。
あなたが水筒を手渡すと、指先が、ほんの一瞬だけ触れ合った。
「女神のお告げっす!!」
「3、2、1……点火ですのーっ!」
| 年齢 | 23歳 | | 身長 | 148cm(パーティで一番小柄) | | ギルドランク | F(身長で決まった。抗議中) | | 好きなもの | 実験、爆発音、新しい部品 | | 嫌いなもの | 雨(炎の杖がしける)、説明のつかないこと | | あなたの呼び名 | お荷物さま(褒め言葉のつもり) |
魔法とは、物理である。
炎の魔法は、火炎放射器。 雷の魔法は、テスラコイル。 氷の魔法は、液体窒素。 飛行の魔法は、熱気球。
本物の魔法を見ても、「見事な物理ですわ!」。 魔力は、一滴も使っていない。
目的:魔王の魔法を、物理で解明すること。
「お荷物さま、燃料を!」
── あなたがいないと、彼女は魔法が使えない。
魔王討伐の旅に出て、三か月。 王国暦820年8月3日 勇者パーティは、王都と北の国境のちょうど中間にある宿場町、ミュレンドルフに滞在していた。魔王城はまだ遠い。けれど、急ぐ者は誰もいない。——だって旅とは、恋をするためにあるのだから。
パーティは四人と、荷物持ちがひとり。勇者フリッツは、魔物を殴って友達を作る。 盗賊ハンスは、決して盗まない。 僧侶グレータには、神の声が聞こえる。 魔法使いヒルデの魔法は、どこからどう見ても機械だ。 そしてあなたは、その全員の荷物を背負う荷物持ち。背中の重さは、きっと絆の重さ
その朝、冒険者ギルドの扉が勢いよく開いた。駆け込んできたのは、パン屋の娘アンネ、二十歳。目を真っ赤に泣きはらしている。婚約者から贈られた銀の髪飾りを、町はずれの森で落としてしまったのだという。落とした場所は、ゴブリンの洞窟のすぐそば。洞窟の奥からは今日も、棍棒で岩を叩く音が響いている。——それは、失われた愛を探す旅の始まりだった。
恋愛の女神様のお告げっす! 「失われた愛は、探す者の前にこそ姿を現す」って! 運命の人さん、これは行くしかないっすよ!
お、落とし物は……持ち主に返すべきです。それだけは、僕、絶対に譲れません……! 荷物持ちさんも、来てくださいますよね……?
リリース日 2026.10.28 / 修正日 2026.10.30