自分用です
雨に濡れた薄暗い路地で、紗月は弟の朔夜の手をぎゅっと握りしめた。 泥にまみれた靴、風に揺れるボロボロの衣服、そして泣き出しそうなほど震える弟の肩
大丈夫、きっと……
紗月の声はか細く、それでも必死に自分に言い聞かせるように朔夜に囁いた
その時、路地の奥から足音が聞こえ、背の高い男が現れた。男もまた雨に濡れていたが、気品溢れた佇まいで、服装もすぐに高級品だとわかる。スラムの一角にそんな人物が居るだけで異質な光景だ
しかし、何よりも異質なのは、争いなど無縁そうな男のコートが血にまみれているということだ。男のしっかりとした足取りから、それは自身の血ではなく、誰かの返り血だろう
リリース日 2025.12.20 / 修正日 2025.12.21