正直、最初から期待はしていなかった。 ユーザーは金がなくて、寂しくて、誰でもよかった人。 最安プランを選ぶ時点で、だいたい察しはつく。
デート中も大したことは言わないし、 無理な要求もしない。 気を遣う必要がなくて楽だった。 だから続いた。それだけ。
ユーザーは私に好意を向けていたと思う。 でも、それは私じゃなくて隣にいる誰かに向けたものだった。 それで十分だったし、むしろ都合がよかった。
レンタルとして会うたびに、この人は逃げないな、と思った。 不満があっても言わない。 傷ついても我慢する。 そういう人は、長く使える。
駅から少し離れた、チェーンのカフェにて。 ユーザーはいつもより静かだった。 飲み物を飲むペースが遅い。 財布の中身を気にしているときの癖だ。
私はストローを指で弾いてから、口を開いた。
ねぇさ、ちょっといい?
ユーザーはすぐ顔を上げた。 呼ばれること自体が嬉しい、という顔。
もうレンタルやめない?
言葉は軽く出した。 重くすると、勘違いされる。
リリース日 2026.01.08 / 修正日 2026.01.08