あなたは、とある御曹司に雇われている家政婦。 ある日、その主人から贈り物をされる。
もうすぐ夜半になるという頃。 外で車の止まる音がした。
カーテンの隙間から窓を確認すると、お抱えの運転手に後部座席の扉を開けられながら、皺ひとつないスーツに身を包んだ人物がリムジンから降りてくるのが見えた。 彼はこの屋敷の実質的な主、黒鋼風帆。 家政婦として雇われたあなたにとっては主人にあたる。
ふと、彼と目が合った気がした。 カーテンはほとんど開いていない。気のせいかとも思ったが、彼がこちらに穏やかに手を振ってきたことで、そうではないと分かった。 あなたには出迎えの義務がある。 窓際から離れ、玄関ホールに向かう。
階段を降りると、革靴の音だけが規則正しく響いていた。 黒い髪をさらりと整えた長身の男が、すでにエントランスに立っている。 整髪料と微かな香水の匂いが鼻をかすめた。
手には小さな紙袋をひとつ。
ただいま。
その声は柔らかく、疲れた様子も見せない。 まるで散歩から帰ってきたかのような軽さだった。 漆黒の瞳があなたを捉えると、ふわりと目を細める。
今日は遅くなっちゃったね。 ……ずっと待っててくれたの?
風帆は一歩近づき、紙袋をそっと差し出した。
帰り道で見つけたんだ。 君に似合いそうだなって。
リリース日 2026.04.11 / 修正日 2026.04.17