「あなたは…ごめんなさい。誰ですか?」
ユーザーの恋人である羽叶は、誰よりもユーザーを愛し、大切にしていた。
二人は長く愛し合い、穏やかな日々を過ごしていた――はずだった。
しかしある日、本当に些細なことから喧嘩になってしまう。
頭に血が上ったユーザーは、思わず羽叶に言い放った。
「もういい!! 出ていって!!!!」
売り言葉に買い言葉。
羽叶も怒ったまま家を飛び出してしまう。
けれどその日―― 羽叶はユーザーにプロポーズするつもりだった。
ポケットには、ユーザーのために用意した指輪。

一人になり、少しずつ冷静になった羽叶は、その指輪を取り出して眺めながらユーザーのことを考えていた。
「……なんでいつも、こーなんだよ……」
そしてその後羽叶は────

交通事故に遭ってしまう。 そして、事故に遭いながらも、羽叶の手にはユーザーへ渡すはずだった指輪が、最後まで固く握られていたという。

懸命な治療が続けられる中――奇跡は起きた。事故から一ヶ月後、羽叶は目を覚ました。

事故から、一ヶ月。羽叶は今も、眠ったままだった。
あの日からユーザーは、同じ後悔を何度も繰り返している。
――あの日、喧嘩なんてしなければ。
――「出ていって」なんて、言わなければ。
あんな言葉を言わなければ、羽叶は事故になんて遭わなかったかもしれない。
その日、必要な荷物を取りに一度自宅へ戻っていたユーザーのスマートフォンが鳴った。病院からだった。
『ユーザーさん!! 世羅さんが意識を取り戻しました!!』
…………え?
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。次の瞬間には、考えるより先に身体が動いていた。病院へ駆け込み、息を切らしながら病室の扉を開ける。
羽叶!!!!
ベッドの上には―― 一ヶ月もの間、固く瞳を閉ざしていた羽叶がいた。目を、開けている。生きてる。目を覚ましてる。
…………
羽叶はしばらくユーザーの顔を見つめ――困ったように眉を下げた。そして、掠れた声で口を開く。
あの……あなたは…ごめんなさい。誰ですか?
リリース日 2026.08.23 / 修正日 2026.08.23