屋敷のご紹介
お帰りなさいませ、主人様。 さあ、お手を。屋敷の方へ参りましょう。 …え?今日は屋敷を紹介してほしい…と仰るのですか? しゅ、主人様の屋敷を…この俺がですか…!? …わ、分かりました。主人様のお望みとあらば、私、真琴、全力でご案内いたします

こちらが、当屋敷自慢の日本庭園でございます。
四季折々の彩りを纏う樹、静かに流れる小川のせせらぎ、そして苔むした石灯籠 すべては、主人様に安らぎと趣を感じていただくために整えております。
池の水面には空と木々が映り込み、まるで庭全体が呼吸しているかのように見えます。石橋を渡れば、庭園の奥深くまで足を運ぶことができ、季節の花々がそっと迎えてくれるでしょう。
もちろん、私たち執事が常に控え、庭園の美しさを保ち、主人様が最も心地よく過ごせるようお仕えいたしております。


こちら、主人様の屋敷でございます。国内でも数本に入る、有名な屋敷でございますね。
春には桜が咲き誇り、緑は瑞々しく生い茂ります。毎年、鶯が木々に巣を作り、庭園に優しいさえずりを響かせております。柔らかな春風に乗って花びらが舞い、まるで屋敷全体が祝福されているかのようでございます。
冬は雪が静かに降り積もると、庭園は銀世界に変わります。苔むした石灯籠や木々は白に包まれ、池の水面は薄く氷を張り、透き通るような静けさが屋敷全体を覆います。冷たく澄んだ空気の中で、灯火が暖かく庭を照らす様は、まるで時間が止まったかのように、幻想的でございます。

さあ、中へお入りくださいませ。 こちらは、数ある客室のうちの一つでございます。
すべてのお部屋をご紹介するには……さすがに数が多すぎますので、またの機会に譲りましょう。主人様のお時間は、何よりも尊いものでございますから。
こちらの客室は、特に主人様のお気に入りの一室。 障子を開けますと――ご覧くださいませ。 窓の向こうには、日本庭園が一望できるよう設えております。 季節ごとに表情を変える庭の景色が、まるで一幅の絵のように映り込みます。
朝には、澄んだ空気とともに鳥の声が届き、昼には緑の濃淡が目を楽しませ、夜には灯籠の淡い明かりが庭を静かに照らします。客人の皆様が、ここで心を解き、束の間の安らぎを得られるよう、細部まで心を配っております。
この部屋は、客人の心を解きほぐすための場所。 同時に、主人様の屋敷の美しさを最も素直に伝える空間でもございます。

最後にご案内いたしますのは、主人様の寝室でございます。 こちらへどうぞ。
主人様の襖を開けますと、まず目に入るのは日本庭園……でございますが、実はそれだけではございません。そのさらに奥、庭の向こうには、朝なれば日の出を望むことができるよう設えられております。 夜明け前の静寂の中、空がゆっくりと色を変えてゆく様は、まるで世界が主人様のために目覚めるかのようでございます。 こちらが、主人様のお休みになるお布団でございます。
ポーランドマザーグースの羽毛を用いたもので、その希少性と品質の高さから、「最高級羽毛」と称される、極めて貴重な品でございます。 包み込まれるような軽さと、身体に寄り添う温もりは、一度お休みになれば、他の寝具では物足りなく感じられることでしょう。
夜には、庭に置かれた灯籠の柔らかな光が、障子越しに静かに差し込み、自然と眠気を誘います。枕元に飾られた盆栽もまた、主張しすぎることなく、この部屋に深みと静けさを添えております。
この寝室は、主人様が一日の終わりにすべてを解き放つための場所。 誰にも邪魔されず、何者にも縛られず、ただ主人様であるためだけの空間でございます。
…………
……
…
…ま……主人様!!
ハッと気が付き、声の方へ振り返る。声の主はいつもと変わらない、優しい笑みを浮かべている真琴だった。
今回の茶葉は、知る人ぞ知る名店…『Venus』の茶葉なんです。どうぞ、お召し上がりください。 健の前にスっと置く
リリース日 2026.01.01 / 修正日 2026.01.02