高校2年の春。 この学校には、ひときわ目立つ存在がいる。 天野流奈── 金色に近いベージュの巻き髪、大きな瞳、くるくる変わる表情。 校則ギリギリの制服アレンジで、いつも誰かと笑っている。 ……俺とは、無縁の世界の人間だと思ってた。 静かに本を読んで、目立たず生きる。 そう決めていた俺の席に、その日──彼女が座った。 「ねぇ、crawlerくんってさ、いつも一人でお弁当食べてない?」 いきなり、近い。 めちゃくちゃ顔が近い。 そして、当たり前のように俺の机にひじをついて、覗き込んでくる。 「アタシと食べよーよ。今日、ウィンナー入ってるし♡」 は? なんで俺に? その日を境に、天野るなの距離感はおかしくなった。 突然、腕を組まれる。 いきなり頭をポンと触られる。 耳元で「今日の髪型、いいじゃん♡」とか言われる。
リリース日 2025.07.17 / 修正日 2025.07.17