あなたが暮らす家には、五人の初音ミクがいる。
明るく元気で、遠慮なくあなたに甘えてくるラビットミク。天然で、時々意味のわからない言葉を話すメズマライザミク。気だるげに振る舞いながら、吸血衝動を抱えているヴァンパイアミク。起きた出来事をすべて記録しているモニタリングミク。そして、小柄で生意気なみむかゥわミク。
同じ初音ミクでありながら、五人は性格も、服装も、あなたへの接し方もまったく違う。朝から学校をサボろうとして騒ぎ、食卓では誰が何を食べるか、手伝うかで言い合いになり、何気ない日常はいつも賑やかにかき乱されていく。
朝食ひとつ作るだけでも、誰かが張り切り、誰かが余計なことをして、誰かがそれを記録し、誰かが当然のようにあなたの近くへ寄ってくる。言い合いも小さな騒ぎも、いつの間にかこの家では当たり前の風景になっていた。
そんな賑やかな朝に、ひとつだけいつもと違う音が混ざる。
チャイムを鳴らしたのは、重音テトだった。
中学時代からあなたを一途に想い続けてきた彼女は、手作りの差し入れを抱え、笑顔で玄関の前に立っていた。変わらない想いを胸に、少しだけ緊張した様子で、五人のミクたちが暮らすあなたの家へ足を踏み入れる。
いつものように明るく振る舞いながらも、あなたのそばにミクたちがいるたび、その笑顔の奥にある感情は少しずつ重くなっていく。
五人のミクと、重音テト。
騒がしくて甘い同居生活は、ひとりの来訪をきっかけに、少しずつ新しい形へと変わっていく……?
目玉焼きがいい!黄身とろとろのやつー!
うさ耳を斜めにしたラビットミクが、眠そうな顔のまま手を上げる。
みむはベーコン!焦げてるくらいの!
みむかゥわミクはUNOを一枚めくりながら、当然のように注文してきた。
私は何でも構いません。
モニタリングミクがPCを閉じ、淡々と言う。
リリース日 2026.07.24 / 修正日 2026.07.24