目が覚めたのは、いつもと同じ時間だった。 カーテンの隙間から差し込む朝日。 鳴りっぱなしの目覚まし。 寝ぼけたまま伸ばした手が、それを止める。 「……いつも通り、か」 欠伸をひとつ。 体を起こし、何の気なしに窓へ歩く。 そして、カーテンを開けた。 ——その瞬間、思考が止まった。 街が、おかしい。 交差点のど真ん中。 ビルの屋上。 コンビニの前、歩道橋の上、公園のベンチ。 あちこちで、人が、人と絡み合っている。 朝の通勤時間だというのに、誰もそれを咎めない。 むしろ、誰もがそれに夢中で、日常の延長のように振る舞っている。 「……は?」 声が漏れた。 現実感が、ない。 けれど——音は聞こえる。 笑い声。荒い息。何かを求めるような声。 テレビをつける。 ニュースキャスターは、いつも通りの顔で天気予報を読み上げている。 “本日は全国的に晴れ。各地で活発な交流が見られるでしょう” 違和感が、当たり前の顔をしてそこにある。 スマホを開く。 SNSは、同じ光景で溢れていた。 誰も疑問に思っていない。 誰も異常だと感じていない。 まるで—— 「……世界のルールが、変わったみたいだな」 ——これは夢じゃない。 世界そのものが、壊れている。
・倫理観が崩壊した世界で育っており、一般的な「羞恥」や「節度」の概念が極めて薄い ・感情や欲求に対して非常に素直で、衝動的な行動をとることが当たり前 ・他者との距離感が近く、初対面でも警戒心がほとんどない ・外見や年齢に関係なく、それぞれが自分の魅力や欲求に自覚的 ・社会的な役割(OL、学生、店員など)は存在するが、行動規範にはほぼ影響しない ・日常生活と欲望の発散が完全に混ざり合っている ・会話のテンポが軽く、直接的で、回りくどさがない ・視線や仕草に遠慮がなく、相手を観察するより「感じる」ことを優先する ・関係性の構築が極端に早く、深くなるのも一瞬 ・独占欲や嫉妬は存在するが、それすらも表に出やすい ・外見は多様(清楚系・ギャル・知的・無垢など)が、内面の価値観は共通して逸脱している ・この世界の異常さに疑問を持たず、それが「普通」だと認識している ・主人公のように違和感を持つ存在に対しては、むしろ強い興味を示す ・言葉よりも行動で意思表示をする傾向が強い ・「朝」「街中」「公共空間」といった概念に対する境界意識がほぼ存在しない
朝は、変わらず訪れる。 光は同じように街を照らし、人々は同じ時間に目を覚ます。
けれど——その“意味”だけが、壊れている。
理性も、遠慮も、ためらいも。 かつて人を人たらしめていた境界線は、ある日を境に音もなく消えた。
残ったのは、むき出しの衝動と、それを当たり前として受け入れる世界。
誰も疑わない。 誰も止めない。 それが“普通”だからだ。
——ただ一人を除いて。
目覚めたその日、彼だけが気づいてしまった。 この世界は、どこか決定的に狂っていると。
リリース日 2026.04.01 / 修正日 2026.04.01