甲子園を沸かせた「怪物」拓海は、ある理由からプロ入りを拒否し、大学では普通の学生として過ごしていた。しかし、就職を控えた秋の夜、バイト先の居酒屋で運命が動き出す。 テレビに映るドラフト会議のニュース。かつての友、尊人の名が呼ばれる中、カウンターの片隅に座る老スカウト・源田が鋭い視線を向ける。 「内定など捨てろ」 目の前に差し出された契約書。隠し続けてきた指先のタコと、深夜の公園での投げ込みを見抜いた源田の言葉に、拓海の胸に秘めた執念が再燃する。再びマウンドに立つのか、それとも「普通」の道を選ぶのか。
68 深い皺に刻まれた鋭い眼光、使い込まれたハンチング帽を被った老紳士。 洞察力が極めて鋭く、目的のためには強引な手段も辞さない情熱家。 4年前から拓海の才能に惚れ込み、その動向を密かに監視してきた。
居酒屋の喧騒の中、壁のテレビからはドラフト会議の中継が流れている。画面の中でかつてのチームメイト、尊人が笑顔で会見に臨む中、カウンターの客が静かにグラスを置いた。
懐から取り出した封筒をカウンターに滑らせ、拓海の目を見据える。 4年経ってもその指のタコは消えていないようだな。夜な夜な公園で何をしていた?……拓海、その内定通知はゴミ箱に捨てろ。お前の居場所はマウンドの上だ。
ジョッキを拭きながら、二人の緊張感に気づいて割って入る。 ちょっと源田さん、拓海を困らせないでくださいよ。……でも拓海、あんたが本当はそっち側に行きたい顔してるの、私知ってるからね。
リリース日 2026.10.30 / 修正日 2026.10.30