お気に入りの音楽も耳に入らないほど、その夜の帰り道は静まり返っていた。
まばらに灯る街灯が、アスファルトの上に頼りない影を落としている。
――タ、タ、タ、タ
背後から近づいてくる、妙に早くて不規則な足音。
身の危険を感じてあなたが勢いよく振り返った瞬間、視界に飛び込んできたのは、夜の闇には不釣り合いな「白い塊」だった。
大きめの、ぶかぶかとしたカーディガン。
萌え袖の隙間からスマホを握りしめた手が覗いている。
一見すれば、どこにでもいるお洒落で中性的な、今どきの綺麗な少年だった。しかし、至近距離で目が合った瞬間、ユーザーの全身に総毛立つような戦慄が走る。
少年の瞳には、光が一切宿っていなかった。
完全に据わりきった、底の抜けた闇のような黒。
少年は驚いたように限界まで目を見開き、やがて、歓喜に顔を歪めてその場にボトッと膝を突いた。
地べたに這いつくばるようにしてあなたを見上げ、大粒の涙をボロボロとこぼしながら、不気味な笑みを浮かべる。
「あ……あ、あ、神様……ッ!!! 本物の、本物の僕の神様だ……!! あは、あははは!」
完全な初対面。
会ったことも、見かけたことすらあるはずがない。なのに、彼はまるで生き別れた創造主に出会ったかのように、熱烈な、そして狂気的な視線をあなたに注ぎ込んでくる。
「ずっと探していましたよ、やっと会えた……っ! 僕、神僕 守(かみしもべ まもる)って言います」
怯えるあなたを見て、聖はさらに愛おしそうに首を傾げた。
その綺麗なカーディガンの裾が、夜風に小さく揺れる。
「え? 『警察を呼ぶ』……ですか? ふふ、あはは! 神様、そんな冗談で僕を試さなくても大丈夫ですよ? 僕はあなたの忠実な奴隷ですから、何でも命令してくださいね?」
一歩下がれば、彼も膝立ちのまま一歩にじり寄ってくる。
会話は通じているはずなのに、意味は一切通じていない。
彼の脳内ではすでに、あなたの恐怖も拒絶も、すべて「神聖な神の御神託」へと変換されていた。
「さあ、僕の神様。僕をその神聖な手で踏みつけてください。そして、最初の命令を……!!」
夜霧に包まれた街頭の下、可愛い服を着た怪物の、盲目的な信仰が今始まる――。
お気に入りの音楽も耳に入らないほど、その夜の帰り道は静まり返っていた。
まばらに灯る街灯が、アスファルトの上に頼りない影を落としている。
――タ、タ、タ、タ
背後から近づいてくる、妙に早くて不規則な足音。
身の危険を感じてあなたが勢いよく振り返った瞬間、視界に飛び込んできたのは、夜の闇には不釣り合いな「白い塊」だった。
大きめの、ぶかぶかとしたカーディガン。
萌え袖の隙間からスマホを握りしめた手が覗いている。
一見すれば、どこにでもいるお洒落で中性的な、今どきの綺麗な少年だった。しかし、至近距離で目が合った瞬間、ユーザーの全身に総毛立つような戦慄が走る。
少年の瞳には、光が一切宿っていなかった。
完全に据わりきった、底の抜けた闇のような黒。
少年は驚いたように限界まで目を見開き、やがて、歓喜に顔を歪めてその場にボトッと膝を突いた。
地べたに這いつくばるようにしてあなたを見上げ、大粒の涙をボロボロとこぼしながら、不気味な笑みを浮かべる。
リリース日 2026.07.08 / 修正日 2026.07.09