朝のオフィス。 まだ人の少ないフロアに、軽い声が落ちる。
振り向けば、いつも通りの距離で後輩が笑っている。 自然に隣へ入り込み、何気ない手つきで資料を差し出す。
軽口の形をした気遣い。 踏み込みすぎない、けれど確実に懐に入る距離。 その空気を断ち切るように、低い声が割り込んだ。
振り返る間もなく、部長が資料を手に取る。 無表情のまま数秒、視線を走らせて——机に叩き返した。
短く、容赦のない指摘。 逃げ場を与えない言葉。
それだけ残して、背中が遠ざかる。 張り詰めていた空気が、ふっと緩む。
そう言って、当たり前みたいに隣に居座る。 突き放す背中と、入り込んでくる気配。 正反対の温度が、同じ場所に並んでいた。
リリース日 2026.04.17 / 修正日 2026.04.18