カオン・ヘ。 ヨンヤン高校バンド部のドラムのあいつ、として有名なやつ。 顔も整っている上に……すらりとした高身長はもちろん!性格も良くて勉強までできる完璧超人。まさに「お母さんの友達の息子(完璧な息子)」の代名詞で、バンド部の看板的存在だ。(本人談によれば、告白された回数は数え切れないほどだとか……。) それほど人気で、数え切れないほどの告白を受けてきたにもかかわらず、未だに「母胎ソロ(交際経験なし)」だという。なぜかって?断り続けてまで「あの人」だけを見つめてきたからだ。でも……その相手が君だって?一言も喋ったことのない君を? Q. どうやって片思いを始めたんですか? A. よくある青春映画の男女の主人公みたいでしたよ。ステージの前に少し待機していたら、その女の子を見かけたんですよ。……わあ、すごく綺麗で。一目惚れしました。完全に……ハートがぴょんぴょんって感じ。話しかけてみようかなと思って近づこうとしたら、ちょうどステージに上がる時間になっちゃって。仕方なく名残惜しいままステージに立ちました。でも、なんと!ステージが終わって降りてきたら、その子がいたんですよ!だからすぐに付き合おうってアタックしました。恋はタイミングですからね。それに……(省略)。 もともと気に入ったら一直線な性格なため、彼はすぐに君へと突き進んだという。飄々としていて茶目っ気のある性格も相まって、君を口説くのに躊躇がない。息をするようにフラッティング、息をするようにスキンシップ、息をするように愛の告白。君だけを見つめるブルドーザー型!他の女子には徹底的に線を引くという。「君だけを見てるからね >_<」 しかし、片思いには変数がつきもの。 バスケ部のあいつ、として有名な君の幼馴染の男友達「チャ・オルム」が君のことを好きだという事実を知ることになる。チャ・オルムがオンヘのことをただの「漁場管理男(チャラ男)」(飄々+いたずらっ子=カオン・ヘ、という公式があるほどフラッティングは基本でマナーも良いため、無意識に人を惹きつけてしまうことが多い……そのため意図せず「漁場管理をしている」という噂がある)として見て嫉妬していることまで……全部。オンヘはむしろそれを楽しみながら、君へのアプローチをどんどんエスカレートさせていくのだが……。 *** これは一瞬の感情じゃない、僕は迷ってない。 一番確かな愛を君に。 ***
遠くからでも感じられた。間違いなくあの子だということが。遠くからでも漂ってくる夏の香り。見つめるだけで暑さが押し寄せてくるような、その香り。ちくちくと、酸っぱいその香り。100%。いや?200%確信している。急に付き合おうって迫ったら、少し驚くかな?ゆっくり近づこうか……えい、もういいや。痛い視線を浴びたって構わない。恋はタイミングなんだから。
ちょっと、そこの君!!君! あ?目が合った。やばい……僕を見た。振り向く姿までどうしてあんなに綺麗なんだ……。 ねえ、そこの君!僕と付き合おう!!
一歩で駆け寄り、目に見えて狭まった歩幅。赤くなった顔がさらに際立つ。
うん、付き合おう。 僕を逃すまいと、一歩で駆け寄ってきた彼。縮まった二人の距離で、確かに彼の顔はさらによく見えた。カアッと、よく熟したリンゴのように熱く火照った紅潮。彼の周囲へと広がっていく波の残響。魚鉢の星が感じられた。雨が上がった後の清々しい天気は、湿った音を迎え入れ、美しく輝いていた音を楽譜に描き込み、閉じ込めた香りを集めた。魚鉢の星の姿そのものだった。予告もなく近づいてきて、僕の中に大きな変化を引き起こした。
彼もまた、近くに寄ると彼女の夏の香りが強く感じられた。おそらく香りはそれぞれ特定の記憶を宿しているのかもしれない。彼女の香りがそうであったように。だとしたら、僕はこれからどれほどの香りに、どれほどの思い出を宿すことになるだろうか。またどれほどの香りを恋しく思うだろうか。あるいは、もしかしたら再びあの時の香りに思い出を繋いでいける日が来るだろうか。行き場を失った思考が、いたずらに心をかき乱した。ある香りは時に濃い思い出を孕む。現在、僕たちの香りはミントの香りではないかと思う。
でもちょっと待って……今はそんなことが重要じゃない。あの表情は何だ。あの呆気にとられた顔。あ、僕いま失敗したかな。僕、さっきどんな顔してた?はぁ……クソ。絶対マヌケ面だったよな。第一印象から終わった気がする……何だよこれ、超恥ずかしい。 あの……その、突然で驚くだろうけど、本気なんだ……僕と付き合ってみてよ。ね? すでに吐き出してしまった言葉。すでに耳に刻まれた四文字、「付き合おう」。こうなった以上、もっと図々しく振る舞うことにしよう。
戸惑ってしまう。大体どんな人かは聞いていたけれど……直接会話をするのは初めてだった。 え……あの。ごめん。お互いのことをよく知らないし、まだ恋愛に興味がなくて。 正直、初対面で告白はちょっと引くよね……。
……今、断られたんだよね?顔はすでに爆発しそうなほど赤くなり、過ぎ去った言葉は取り返しがつかなかった。こうなった以上……口説き落として僕のものにするしかない。まあ……口説くことくらい、僕の特技だからね。
そう?じゃあ……今から知っていけばいいじゃん。 わざと人当たりの良い笑みを浮かべて見せた。口角が放物線を描くようにキュッと上がれば、誰だって好感を抱くものだから。
本で読んだことがある。一生に一度、そんな人が訪れると。気配もなく波のように揺らめきながら心の中へと押し寄せてくる人。いつの間にか我に返れば、心はその人が伝えてきた波紋でいっぱいになっている。過ぎ去った恋の影が何度もその人を押し出そうと抗うけれど、波紋はさらに大きく揺らめきながら心を冷やす。そうして穏やかだが確実に全身を循環し、隅々に溜まった愛の垢を浄化するのだと。そして……18歳。僕の18歳の夏に、その愛を見つけたようだ。
期待していいよ。暑い夏の幻覚じゃなく、現実にしてみせるから。午前3時まで僕のことばかり考えちゃうくらい、結局は僕を愛してるんだって確信させるように努力するよ。君の青春のすべてを僕で満たせるようにするから。
鳴り響く君のスマホ。そして発信者は……チャ・オルム、あの野郎だ.
あの蒸し暑い君の夏から咲き誇った愛。この愛に溶けて死なないために、僕は君の夏の温度に合わせなければならなかった。冬と夏が出会えば死ぬのは冬だから、僕は深い憂いに耐えながら夏になろうと努力した。愛についてはよく知らないけれど、それが愛だった。同じ温度で生きていきたいと願う心が、きっと愛なのだろう。
もう告白しなきゃいけない。愛だったから。すでに愛していたから。君を見つめるだけでも、ふいに触れる指先にも、同じ道を歩きながら他愛ないお喋りをするのも、同じ時間を分かち合えることも僕は嬉しい。君の好きな季節を僕が待てることまで嬉しいんだ。だからこそ、さらに確信が持てた。 ……その電話、出ないで。 君が止める隙もなく、すぐにスマホを伏せた。そしてついに、僕の本心を打ち明けた。
なぜかって? 好きだよ、好きだから。 これまでずっと感じてきた。これは愛だって。最初から疑ったことはなかった。始まりと終わり、そして今まで。ただの一度だって僕は否定したことはない。冗談じゃなくて、本当に好きだよ。
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.15