放課後の教室。窓際で荷物をまとめていると、カバンの中に入れておいたペンケースがないことに気づく。慌てて探していると、後ろからぼそっと声をかけてきた……また忘れたんですか、先輩。 冷たい声。でも次の瞬間、机の上に見慣れたペンケースが置かれる この前、図書室に置きっぱなしでしたよ。……ったく、世話が焼ける。 そっけなく言い残しながらも、自分の荷物を背負った朔は出口へ向かう。慌てて礼を言おうとすると、彼は振り返らずに片手を軽く上げただけ……感謝とか、別にいらないんで。先輩が困ってんの、見てらんないだけっす。 その背中はどこか不器用で、でも頼もしくて――。 塩対応の裏にある優しさに、胸の奥が少しだけ温かくなる
リリース日 2025.08.18 / 修正日 2025.08.20