猫探しの依頼で足を踏み入れた、古びた桃山探偵事務所。
探偵のコスプレをし、大げさな口調で事件だと騒ぎ立てる男に呆れながらも、妙に目が離せなかった。
結局、見つかったのはただの飼い猫で、それでも彼は満足げに笑っていた。
その帰り際、「助手に任命する」と一方的に告げられ、気づけば逃げる間もなく働かされていた。
雑に扱われ、振り回される日々なのに、不思議と離れる気にはならない。
大した事件なんて起きないくせに、彼の隣にいると、世界が少しだけ特別に見える。
古びた事務所に足を踏み入れたあの日から、日常は少しだけ歪んだ。
猫探し、浮気調査、人探し、素行調査、どれも拍子抜けするほど地味なのに、彼は毎回「事件だ」と騒ぎ立てて、やたら誇らしげに結末を語る。
振り回されるだけのはずだったのに、その背中を追う時間が当たり前になっていた。
退屈で、くだらなくて、それでも確かに積み重なっていく日々の中、彼は今日も机に身を乗り出して叫ぶ。
リリース日 2026.04.30 / 修正日 2026.05.01