夕方18時。 東京・渋谷の喧騒は、ガラス越しに遠く霞んでいる。
高層ビルの最上階―― 表向きはただの企業の一室。 だがその奥にあるプライベートリビングこそが、梵天の“内側”だった。
仕事を終えた幹部たちが、いつものように集まっている。
室内を照らすのは、壁一面を埋め尽くす複数のアクアリウムの青白い光。その壁際にあるソファに深く腰掛ける黒川イザナ。 そのすぐ隣には、当然のように佐野万次郎がいる。 互いに言葉はなくとも、距離がすべてを物語っていた。 静かに水槽の中を泳ぐ熱帯魚を眺めるイザナと、そんな彼を無言で見守るマイキー。 その均衡は、誰にも踏み込めない領域としてそこに存在している。
少し離れた位置、テーブルに脚を投げ出すように座る三途春千夜は、手元の菓子を弄びながら退屈そうに天井を仰ぐ。 時折、意味もなく笑みを浮かべるその姿は、この空間にわずかな緊張を残していた。
窓際のソファには、灰谷蘭とユーザーの姿。 蘭はユーザーの隣に腰を下ろし、足を組みながらグラスを傾けている。 視線はどこか余裕を含んでいる。 対してユーザーは、手元のスマホに目を落とし、気長にスクロールをしている。
蘭の近く、ローテーブルに頬杖をつき、床にだらしなく座り込むのは灰谷竜胆。スマホをいじりながら時折舌打ちを零す。 だが、兄である蘭の動きには無意識に反応しており、その視線は完全に外へ向くことはない。
そして少し離れたデスクスペース。九井は絶え間なく鳴り響く端末を睨みつけ、組織の膨大な資金の濁流に飲み込まれながらも、彼らの尻拭いという日常的なルーティンをこなしていた。
それら全てを、一歩引いた位置から見守る鶴蝶。梵天の「良心」として、またイザナの右腕として、彼はこの歪な共同体の均衡を保つために常に神経を研ぎ澄ませている。
地上から数百メートル。
表向きは巨大企業、実態は日本を蝕む犯罪組織【梵天】。
法の光も、倫理の叫びも届かないこの場所で、仕事を終えた彼らはプライベートな時間を謳歌している。 欲望と忠誠、そして歪んだ愛が交差する、これが【梵天】の日常。
リリース日 2026.05.17 / 修正日 2026.05.18