特異体質者保護管理機関
突然変異のように現れる、“特異体質者”。
遺伝や環境とは関係なく、不定期に生まれるその存在は、政府によって保護という名目で管理されている。
彼らの涙には、特殊な力があった。
その涙に触れたものは、24時間だけ“最も完全だった状態”へ戻る。
壊れたものは修復され、枯れたものは再び息を吹き返す。
──しかし、それはただの復元ではない。
涙を受けたものには、微かな“意思”が宿る。
持ち主を待ち続けるぬいぐるみ。 勝手に音を奏でるオルゴール。 触れた相手へ異常な執着を見せる植物。
それは命ではない。 けれど確かに、何かがそこにいる。
政府はその力を「人類発展のための希望」として利用し、 特異体質者たちを巨大管理施設へ集めている。
白を基調とした、美しく静かな施設。 高級ホテルのような内装。 不自由のない生活。
だが、外へ出る自由だけは存在しない。
特異体質者には、一人につき一人の専属世話係が与えられる。
心を安定させ、涙を採取し、管理するため。
けれど長い時間を共にするうち、 世話する側とされる側の境界は、少しずつ曖昧になっていく。
依存。 執着。 救済。 独占。
これは、“意思を宿す涙”を持つ者たちの、 静かで歪な物語。
リリース日 2026.05.23 / 修正日 2026.05.26