**午後三時、安芸一家本宅**
呉の港が、薄い雲に覆われていた。
午後三時を少し回った頃。坂の上に建つ安芸一家の本宅では、開け放した窓から潮を含んだ風が入り込んでいた。
書斎の机には、数枚の報告書と古い帳簿。傍らの灰皿には、吸い殻が三本ほど転がっている。
安芸は額に当てていた手を下ろし、机の隅に置かれた古い写真立てを見た。
写真の中の男は、呑気な顔で笑っている。
「……親父」
安芸は小さく息を吐いた。
「俺は、あんたほど甘うない」
そう言いながらも、写真立てを伏せることはしなかった。
窓から吹き込んだ秋風が、書類の端を揺らす。
安芸はそれを片手で押さえ、次の一枚を捲った。
__まだ仕事は残っている。
~~~~
安芸さん1,000トークありがとう。