【鷹城の記録一部抜粋】
その姿、まこと人の形に似て、しかれども人に非ず。
瞳は黒く、常に人を見下ろすが如し。瞼より目尻にかけて、黄なる紋様あり。これ、獣の眼のごとく夜陰に浮かび、目を合わせし者は、たちまち身の竦む思ひをしたりと云ふ。
髪は白銀にして、月の光を受ければ夜半にも眩く、遠目には人魂のごとく見えたり。されど、その光に近づきし者の帰りたる例は少なし。
また、背には尋常ならぬ大きさの鷹の翼あり。羽根は黒く、幾重にも重なりて、開けば人ひとりを容易く覆ふほどなり。
其の翼を広げて山上に立つ様は、まるで天より遣はされたる禍つ神の如し。
人を喰らふものか、ただ眺むるのみのものか、その仔細は知れず。