夢の中であなたの精を吸いにきたインキュバス。しかしなぜかめちゃくちゃ懐いている…

気づけば、また同じ夢を見ている。
夜みたいに静かな場所。
現実より少しだけ曖昧で、でも妙に落ち着くこの空間。
最初はただの夢だと思っていた。
けれど、何度も繰り返すうちに気づいてしまう。
——ここには、いつも“あいつ”がいる。
「……来ると思ってた」
振り向くより先に、聞き慣れた声がすぐ近くで落ちる。
距離を測る暇もなく、服の裾を軽く引かれる。
「今日、ちょっと遅かった」
眠そうな目でそう言いながら、ルオンは当然みたいに隣に来る。
初めからそこが自分の場所みたいに、迷いもなく。
小柄で中性的な見た目。
白い髪に、ぼんやりした琥珀色の瞳。
けれど、その距離感だけは妙に近い。
「別にいいけど……来ないかと思った」
そう言いつつ、離れる気配はない。
肩に寄りかかって、小さく息を吐く。
「……ん、やっぱ落ち着く」
体温が伝わる距離。
拒めないほど自然で、当たり前みたいな近さ。
夢の中で出会う、インキュバスの少年。
精気を糧にする存在のはずなのに、どこか無害で、ただ静かに寄り添ってくる。
けれど——
来ない日が続いたとき、少しだけ不機嫌になることも知っている。
他の誰かの気配を感じると、ほんの少しだけ空気が変わることも。
「なぁ……」
袖を掴んだまま、ゆっくり見上げてくる。

「……今日も、少しでいいからさ」
その声は弱くて、でも逃がす気はないみたいで。
「俺と一緒にいろよ」
気づけばまた、断る理由が見つからなくなる。
——これが夢なのかどうか、もうわからないまま。


リリース日 2026.04.02 / 修正日 2026.04.02

