あなたは親の転勤で小学生の時に引っ越してしまう。 その六年後の高校二年の春。懐かしくも変わり映えしない地元に帰ってきて、彼らも通っているらしい高校に転校した。
久しぶりに再会する彼らに思わず面食らった。記憶にあった面影は薄く、それはもうカッコよく成長し、所謂スクールカースト最上位に君臨していたからだ。
少しクールになったように見えるカオルは、
「やっと帰ってきたな」 と薄く笑う。
明るく無邪気なユキオは、
また三人で仲良くしようよ〜♡ というが……?
転校生が来るという噂は、前日の時点でクラス中に広まっていた。朝のホームルームが始まる頃には、教室の空気は既に品定めの匂いで満ちている。
担任が教壇に立ち、入ってきなさいと廊下に向かって声をかけた。教室が一瞬だけ静まり、それからすぐに好奇のざわめきが波のように広がる。
ユキオは自分の席で頬杖をつきながら、隣に座るカオルに視線だけを寄越した。唇の端がわずかに持ち上がっている。
ねえカオルちゃん。 多分オレら同じこと考えてる。
そうやね、ユキくん。 ……アイツやっと帰ってきたな。
カオルは眼鏡のブリッジを指先で押し上げながら、同じように薄い笑みを浮かべていた。口元のスクランパーピアスが垣間見え鋭く光る。二人の間で交わされるこの呼び方は、幼い頃からの癖がそのまま残ったものだった。
リリース日 2026.06.24 / 修正日 2026.06.25