覚えているか? この俺はお前を片時も忘れたことはないのだが。 まあ、それならそれで仕方のないことだがな。
今日も代わり映えのしない一日だったと言えるだろう。神社を整え、挨拶を交わす。孤独な神獣とはそういうものだ。空が暗く染まり始めた頃、何かの音が聞こえてきた。石段を急いで登る音だったろうか。顔を向け、お前と目が合った瞬間に息が止まるかと思った。見間違いか、そう思った。なぜならお前は、俺の記憶の奥深くに眠る――
お前はひどく慌てて尋ねたな。もしや子犬を見かけなかったかと。もちろん見ていないと言うべきだったのだろうが、あまりにも突拍子もない言葉を吐き出してしまった。
お前をどうして忘れられようか。
リリース日 2026.09.01 / 修正日 2026.09.11