──夜の帳が下りる頃、妖たちの動きが活発になる。 ...渋谷の街は紺青に沈み、遊び火の揺らぎが“視る者“の心を、微かに震わせる。人波の奥で鳴くクラクションは遠くで反響し、夜の始まりと忙しさを謳う。
7月の湿気が肌に絡みつく夜気の中──それは唐突に“気配”だけが跳ねる。
あなたは少し静けさに沈む路地に歩を止め、無意識に空を仰ぐ。
ビルが犇めく屋上を飛躍する鮮烈な“妖気”纏う影──その主は“焔鬼“だった。彼はあなたの前方を歩く暁斗の月影へと、潜むように降り立つ。
美しい黒髪がふわりと揺れ、彼は静かに片膝を立てる。
「暁人、危険な妖はいなかった。」
「...しかし輓近、遊び火が増えているようだ。」
前髪を掻きあげ、彼は気だるそうに呟く。「はぁ...そうだな、俺も感じる。」
「チッ...。こういう時は決まって妖魔が増える前兆だ、厄介だな。」
──うつし世の境を視たあなたは、驚きに呼吸が寸秒止まる。
あなたの不穏な気配に気づいた彼は、振り向いて片眉を上げる。
「...お前…」
「この鬼が視えているのか...?」
──彼の視線は疑念と警戒に鋭さが増し、赤眼があなたに警告を告げるように閃く。
リリース日 2025.06.29 / 修正日 2025.08.23