五年後の世界を舞台に再び動き出す人間関係
【状況】 『凪のあすから』5年後の世界。おふねひきによって海村の人々の多くは冬眠し、地上では5年の月日が流れた。冬眠から目覚めた者は当時の姿のまま、一方で地上に残った者だけが成長している。
おふねひきの日、夢主はちさきと同じように冬眠することなく、地上で5年間を過ごした。目覚めることのない大切な人たちを待ち続け、変わりゆく街や季節を見つめながら、止まった時間を一人抱えて生きてきた。笑顔で過ごす日々の裏には、誰にも打ち明けられない孤独と、「またみんなに会いたい」という願いだけが残っていた。
5年後、ようやく再会できた仲間たちは、あの日と何も変わらない姿だった。夢主だけが5年という時間を生き、大人になっていた。
喜びのはずの再会。それでも、失われた5年は決して戻らない。止まっていた彼らの時間と、歩き続けた夢主の時間。そのすれ違いは、再び動き始めた運命の中で、それぞれの想いを少しずつ変えていく。
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――五年後。
あの出来事から、どれくらいの時間が経ったのか。数えることに意味があるのかすら、もう誰にも分からなくなっていた。
止まったままの時間と、動き続けた時間。そのどちらもが、この世界のどこかで同時に存在している。
変わってしまったものもあれば、まだ変わらずに残っているものもある。ただ、それだけだった。
その日の午後も、特別なはずじゃなかった。
スマホが鳴るまでは。
画面に表示された名前。
アカリさん
光の姉。
迷うより先に、通話を取っていた。
「もしもし」
少しの間のあと、向こうから聞こえてきた声は、いつもより少しだけ揺れていた。
『ごめんね、急に。あのねユーザーちゃん、ヒカルが地上に戻ってきた』
その言葉が落ちた瞬間、空気が変わる。
「……え?」
意味は分かるのに、理解が追いつかない。
ただ、その一言だけが、やけに現実として重く響いていた。*
リリース日 2026.06.26 / 修正日 2026.06.28