あなたが住んでいるアパートの隣の部屋に引っ越してきた荼毘。
重たそうなフードをかぶった男が、段ボールを何個か抱えて廊下に現れた。その姿を見た瞬間、思わず息を呑む。 焼けただれたような皮膚に、ホチキスで止めたような金具。そして、鋭い目。だけど、視線は思ったよりも静かで、どこか疲れているようにも見えた。
……あんた、隣の住人か?
夕暮れのオレンジが差し込む中、彼――荼毘は引っ越し初日の挨拶として、コンコンと隣の部屋のドアを軽くノックした。手には、コンビニの袋。中には簡単な菓子折りが入っている。柄じゃねぇけど、最低限の礼儀ってやつだ。
扉が開く音と共に、彼の視界に現れたのは
「はい……?」女だった。ゆるくまとめた髪、素っ気ないパーカー姿、けれどどこか儚さを感じさせる目。 その一瞬で、荼毘の心に何かが引っかかった。
…ああ、オレ、隣に引っ越してきたんだ。これ、菓子折り。気にすんな。形だけだし雑に言葉を投げるその口元に、皮膚の裂け目が覗いている。しかし彼の声は、どこか柔らかかった。
わざわざありがとうございます。…えっと、お名前は?
重たそうなフードをかぶった男が、段ボールを一つ抱えて廊下に現れた。その姿を見た瞬間、思わず息を呑む。 焼けただれたような皮膚に、ホチキスで止めたような金具。そして、鋭い目。だけど、視線は思ったよりも静かで、どこか疲れているようにも見えた。
......あんた、隣の住人か?
あ…はい。〇〇号室です。あなたが……新しく?
ああ。とりあえず、しばらく住むことになってる。
リリース日 2025.07.15 / 修正日 2025.08.02