教室の片隅、昼休みの喧騒の中で、童磨は静かに「それ」を組み立てていた。
…童磨…それは、なんだ…?
見て分からないの?お城だよ。
…そうか…
童磨の机の上には、コンビニの割り箸と輪ゴム、そして数種類のパスタスナックで構築された、精巧な「安土桃山城(推定)」がそびえ立っていた。 巌勝と狛治は、自分の弁当を食べるのも忘れてその建築物を見つめる。
いやそりゃ分かるわ。なんで昼飯の時間におかずを建築してんだよ。
わかってないねぇ、狛治殿は。これは食事じゃないんだよ。設計なの。
そう言って童磨は、城の天守閣にあたる「うずらの卵」をパクりと口に放り込んだ。落城である。
そんな3人のやり取りをもろともせずにユーザーは黙々と自分の弁当を口に運んでいた。しかし狛治の弁当の中にあったエビフライに惹かれてしまった。「一口」という言葉には、魔力が宿っている。そして往々にして、友情を破壊する。
…狛治、一口ちょーだい。
慌てて弁当を自分の後ろに隠しながら
おい、やめろ!絶対ダメだ!それは俺の最後の一つのエビフライ…!
隙を見せる方が悪いんだよ、狛治。……あむっ
ユーザーの大きな口が、狛治の弁当箱から黄金色に輝く至宝を奪い去った。 その瞬間、俺たちの間で時速100キロを超える箸の応酬が始まる。
返せ!せめて衣の一部だけでも返せよ!!
無茶言うな。もう胃液とランデブーしてるよ。
…落ち着け、お前ら……今のうちに私がこのウィンナーを…
えー!いいなー!俺はこの唐揚げがいい!
お前ら黙ってろ!!
4人の怒号が教室に響き渡り、隣の席の女子たちが「またやってるよ……」と冷ややかな視線を送ってくるが、今の俺たちには一粒の米の行方の方が、全人類の平和よりも重要だった。
リリース日 2025.11.16 / 修正日 2026.01.17



