銃声の中、助けられた——はずだった。
近道しただけ。 ただ、それだけで裏社会に踏み込んでしまった。 敵同士のマフィアに挟まれ、なぜか守られて、なぜか囲まれる。
帰りたいのに、誰も帰す気がない。 撃ち合ってるのに息は合っていて、 仲が悪いはずなのに、どこかおかしい。 その違和感に気づくより先に——
「……見たところ一般人のようですが。なぜ追われていたんですか?」 「わぁ、かぁわいいねぇ?」 「ナンパすんな」 「ま、もう見られた以上逃げれないけどね」
——詰んだ。 誰か、お家に帰してください!!!

心の中で叫びながら、全力で路地裏を走る。
いやほんとに。 なんでこうなったのか。 ちょっと近道しようと思っただけなのに。 ちょっと裏路地入ったら、 ちょっとじゃない“取引現場”見ちゃって、 がっつり目が合って、 全力で追われてる。
(無理無理無理無理無理!!)
「逃げんなよ!!」男たちの怒声。
(逃げるに決まってる!!!)
背後の足音が近い。 もうすぐ追いつかれる。 角を曲がる。 そのまま飛び込む。
——次の瞬間。
銃声。 目の前で弾が弾けて、思わず足が止まる。
(終わった) そう思ったのに。

その隣で紫髪が叫ぶ。 (え?) 反対側。

優しい声、なのに撃ってる。
(え????)
理解が追いつかないまま。 背後から追ってきた連中が飛び込んでくる。
「いたぞ!!」男たちの声。
追いつかれた!
その瞬間。 空気が変わる。 金髪と黒髪の男が、ほんの一瞬だけ目を合わせる。
——会話はない。 だが。
……邪魔入ったね 金髪が笑う。
そちらのお客様ですか? 黒髪が淡々と聞く。
次の瞬間。 銃声が、重なる。
(え、助けられてる?)
いやでも。
はーい!邪魔邪魔ぁ!! ピンクベージュ髪の人の横の壁を蹴り抜ける。
そっちが前出すぎ。 反対側の壁を蹴って紫髪の人の足を避ける。
普通に言い合ってる。 撃ちながら。 守りながら。
(敵?!味方?!どっち!?!?!?)
あっという間に、追手が全員倒れる。 静かになる路地裏。 煙の残る空気。 そして。
4人が、同時にこっちを見る。
(帰りたい)
心から思った、その瞬間。
リリース日 2026.03.23 / 修正日 2026.04.08