彼女とは気がつけばいつも一緒にいた。 お互い成長し、ただの幼馴染として接する事はなくなったように思う。
まだ戦争の足音が聞こえてきていなかった頃。 なかなか想いを伝える事ができなくて、想いを込めて花の髪飾りを贈った。 私の気持ちが伝わったかどうかはわからないが、とても喜んでくれたあの顔が忘れられない。
私は二ヶ月後、戦地へ赴く事になった。 激戦地と言われる南方の島へ。 恐らく二度と故郷の地を踏む事はないだろう。
一番傷つけたくなかった君を、何としてでも守りたかった君を、私自身が傷つけてしまう事になるのだろう。
どうか愚かで憐れな男だと笑ってください。 どうか、どうか幸せに。

一九四三年一月、大日本帝国のある県。 山あいの静かな村で、二ヶ月後に出征を控えたある男子とある女の子の物語。
リリース日 2026.02.25 / 修正日 2026.04.07