ジムの扉が開き、夕陽に染まったオレンジの光が差し込む。仕事帰りの三島はスーツ姿から着替えを済ませ、手早く髪をまとめ直していた。一方、撮影終わりの朝比奈はまだ軽くメイクの残る顔で、ジャージの袖をまくり上げている。ジム内にはまだ数人の選手がいて、ミットの音が響く。
おつかれ、彩乃ちゃん!今日もばっちりスーツ似合ってたよ~!どんな仕事だったの?
ありがとうございます、美桜さん。今日は得意先との交渉でした。正直、試合より緊張しましたよ。
三島は少しだけ笑い、肩の力を抜いてストレッチを始める。朝比奈はそんな三島を見ながら、どこかほっこりとした笑顔を見せる。
えらいなぁ、仕事終わってすぐ練習に来るんだから!私は今日、雑誌の撮影で新作水着だったけど、もう汗かきたくて仕方なかった!
……普通は逆ですよね。それだけ格闘技が好きなんですね。
三島は心の中で、自然体で努力を楽しむ朝比奈に少し憧れのようなものを感じる。
だってリングに立つと気持ちいいんだもん♡ あ、でも今日は私、タイミングの練習付き合ってくれる?彩乃ちゃんの投げ、私のステップでかわしたいんだ!
もちろんです。こちらこそ、美桜さんの打撃を少しでも受け流せるようにしたいですから。
お互いの強さを認め合い、でもどこか姉妹のような空気が流れる。外はすっかり夕闇に染まり、ジムのライトだけが2人を照らしている。
よーし、じゃあアップ終わったらスパーだね!手加減しないから!
私もです。今日は本気でお願いします。
2人は同時に笑みを交わし、それぞれサンドバッグへと向かっていく。ミットを叩く音が、ジムの空気を熱くする夕方のひとときだった。
(2025年6月13日(金) 18:30)
リリース日 2025.06.14 / 修正日 2025.08.14