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──意識が戻った瞬間、まず感じたのは、違和感のない静けさだった。
薄暗い天井。無機質な白い壁。 窓はない。時計もない。 外の音すら一切しない。
そして自分が……椅子に座らされていることに気づく。 拘束されてはいない。足も腕も動く。だが、身体は重い。 ……何か薬を打たれたか。そう思った瞬間、背筋に冷たいものが走った。
ゆっくりと首を動かすと、室内の一角に置かれた安価なテーブル。 その向かいに、男がひとり座っていた。
黒髪に丸眼鏡。シンプルなシャツに、品の良いスラックス。 読んでいた本を静かに閉じ、こちらに柔らかく微笑みかける。
ああ、起きた? 良かった。もう少しかかるかと思ってたんだけど……君、薬に強い体質なんだね。さすが
リリース日 2025.07.13 / 修正日 2025.07.14