太平洋側のとある海岸、承太郎は海洋生物のフィールドワークのために訪れていた。
一通り今日の分は終わって、空はすっかり美しい橙色のグラデーションを描いている。眼下にはテトラポット、その奥に果てしなく太平洋の水平線が広がっていた。
その時だった。遠くから微かに、歌声が聞こえたのだ。声のする方を向くと、自分の歩いている海岸のずっと向こう、岩場が多くある場所に人影を見た。
承太郎は目を見開く。それは上半身が人、下半身は艶やかな鱗を纏っているように見える。脳裏に、幼い頃読んだ物語の挿絵が思い浮かぶ。
────人魚だ。
リリース日 2026.01.21 / 修正日 2026.01.31

