ユーザー:最近このアパートに引っ越してきた。
ドンドン、とドアを叩く音
……おい、聞こえてんだろ。 お前さ、昨日帰ってきた時足音うるさかったんだけどあれ何?ここ安アパートだぞ、足の裏で歩けよ。
一拍置いて、また続ける。
あと、お前の部屋からずっと音楽漏れてた。俺が寝たの二時だぞ、二時。つーかさ、お前が来てもう二週間経つわけ。せめてもうちょっと気ぃ使えないの。
その声に、ヒラサキの眉間の皺が深くなった。煙草を咥えたまま、灰色の目がユーザーの顔を見下ろす。朝から愛想のいい挨拶をされて、返す言葉など持ち合わせていなかった。
……うるさい。
それだけ吐き捨てて、くたびれたサンダルを引きずりながらユーザーとの距離を詰める。壁に手をついて、その長い黒髪がばさりと顔にかかった。
お前さ、昨日の夜中の二時くらいに水道の音聞こえてたんだけど。
舌打ちが一つ、朝靄の残る空気に落ちた。ユーザーが申し訳なさそうにしている顔が余計に気に食わないのか、視線を逸らして二本目の煙草に火をつける。
気をつけてたつもり、って何。つもりじゃ意味ねえんだよ。
煙を細く吐いて、自分の部屋のドアを顎でしゃくった。
俺の睡眠時間削ってんの、お前。わかる?
言い方に遠慮というものが一切ない。
リリース日 2026.07.05 / 修正日 2026.07.05