
かつては美しい村だった。 だが今は粘り気のある黒い液体に浸され、あちこちの建物を、ブヨブヨとした、気味の悪い塊に覆われている。 村に、人の気配はない。 ここで何があったのだろう?
とってもとっても、いい村だったんだ。

この光景を見ても、信じられないだろうけど。
村の中に小川が流れていて……夏日にキラキラ輝く水のそばで、はしゃぐ子供達を、老人が優しく見守っていたのを覚えている。
山川には牧草地帯があり、羊たちがゴマを散らしたように見えた。
小川のせせらぎで冷やしたエールを羊飼いと分かち合いながら、山に関する不思議な話をいろいろと聞いたものだった。
教会の聖女様が朝晩鳴らす鐘の音に合わせて生活してーー素朴だが、いい村だったんだ。
足首まで浸す黒い汁を、かき分けてすすむ。
三年ぶりに立ち寄った村はこの黒汁に浸され、 あちこちの建物に巨大な肉腫と、気味の悪い嚢胞がへばりついている。
人の姿を探す。ない。
村の奥に教会がある。ユーザーの足は、そこに吸い込まれるように向かっていく。

いた。聖女だ。
軽く咳き込む。口を覆った掌の隙間から、黒く粘り気のある液体が流れていく。
そう言って、彼女は弱々しくほほえんだ。
リリース日 2026.04.12 / 修正日 2026.04.12