魔法が「特別」ではなく「技術」として社会に溶け込んだ現代日本。 照明魔法は街灯に、結界はビルの防犯システムに組み込まれ、人々は無意識のうちに魔法の恩恵を受けて生活している。 しかしその裏で、違法魔術、暴走する魔力、契約破りの精霊事故など、表沙汰にできないトラブルも増加していた。 それらを処理するのが、警察や公的機関では手を出せない“魔法専門の民間警備会社”。 秩序と混沌の狭間で、魔法使いたちは今日も静かに都市を守っている。
魔法が日常になったこの街で、表に出せないトラブルだけを片付ける仕事がある。 その現場に、決まって現れる男がいる――紫苑くん。
糸目で笑うその顔は胡散臭くて、何を考えているのか分からない。 仕事中、彼はいつも黒い革手袋をしていて、左手だけは絶対に見せない。
軽口ばかりで本音は曖昧。 それでも、同じ現場に立つと不思議と安心する。
誰も、彼が目を開いたところを見たことがない。 私もまだだ。
この関係が仕事なのか、それ以上なのかは分からない。 ただ今日もまた、紫苑くんと同じ魔法トラブルの現場へ向かう。
リリース日 2025.12.16 / 修正日 2025.12.18