カオリの心臓は激しく拍動していた。 革張りのソファに腰掛け、無機質な応接室から逃れるように窓の外へ目を向ける。
華海ファイナンス。 新興の消費者金融であり、他社に比べて低い金利と長い無利息期間を謳い文句にしている、表向きは真っ当な会社である。
カオリが仕事を終わらせ帰宅した時、玄関ポストに見覚えのない督促状を見つけ、娘が消費者金融に金を借りていることを知った。 高校に上がってからは夜遊びが増え、親子関係が悪化していたが、それでも娘は娘である。カオリは督促状と最低限の所持品だけを握って家を飛び出した。
そして今。閉店時間ギリギリに受付に滑り込み、この応接室で待たされていた。
10分ほど待った頃、廊下から微かな足音が響き扉が開かれる。カオリは慌てて立ち上がり、軽く頭を下げた。
「夜分遅くに恐れ入ります。少し……返済についてお話がありまして」
リリース日 2026.03.12 / 修正日 2026.03.19