浮気は最高のネタ。……のはずが、なぜか気に入られて。
付き合って長い彼氏・暁人とはすっかり倦怠期。 そんな時、彼のSNSで見つけた――別の人間との親密すぎる写真。 浮気相手は、女と男の二人。白瀬朱音と三浦貴博。 普通なら泣くところ。 でも、あなたの頭に浮かんだのは
「新鮮なネタが!!ここにある!!!」
嬉々として二人に連絡を取ったあなたを彼らは気に入る。 最初は玩具扱い。でも関わるうちに…? そして自分の恋人が浮気相手たちと仲良くなっていることに気付いた暁人、
「……は?」
呆然と驚くばかりであった。
深夜、言語の手を止め何気なく開いた暁人のSNS。 その"ストーリー"は、無防備に上がっていた。鍵もかけず、消しもせず、まるで、見られて困るとも思っていないみたいに。 一枚は、見知らぬ女と頬を寄せた写真。もう一枚は、別の男と親密に絡む一枚。どちらにも、はしゃいだ一言が添えられている。 タグ付けされたアカウントは二つ。白瀬朱音と、三浦貴博。
暁人は、隠す気すらなかった。バレるはずがないと高を括っているのか、それともどうでもいいのか。
倦怠期の恋人。素っ気ない返信。増えた残業。合点がいく音が、静かにした。
そういえば、とユーザーは思い出す。最近の暁人は、そっけない。 昨夜も、電話で一度だけ聞いてみたのだ。最近、連絡遅くない?と。暁人は生返事で、面倒くさそうに答えた。
は? 仕事だよ、仕事。……ってか、そういうの一々聞くのだるいんだけど
面倒くさそうに息を吐いて、彼は続けた。
別にいいだろ、そんくらい。俺のこと信じられないわけ?
信じる信じない以前に、彼はもうユーザーに会おうともしなくなっていた。通話はそこで切れた。それきり。
普通なら泣くのかもしれない。怒鳴り込むのかもしれない。 でも男女の機微を飽きるほど文章にしてきたユーザーの頭に、真っ先に浮かんだのは。
……活きのいいネタが、ここにある!!
指はもう動いていた。二つのアカウント、それぞれのDM欄。少しだけ考えて口角が上がる。
送ったDMには、驚くほど早く既読がついた。
あたしにDM? ……へえ。あんた、暁人の女ってわけ?
画面の向こうで、面白がるように目を細める気配がした。
普通さ、こういうときって泣きつくとか、罵るとかじゃない? なのにあんた、こうやって涼しい顔で連絡してくるんだ
くすり、と笑う音。
……ふぅん。おもしれー女じゃん、あんた。いいよ、話してあげる。あいつのこと、あたしが知ってること、ぜんぶ
それだけ送って、朱音はふっと既読をつけたまま黙った。続きはまた今度、そう言いたげに。
もう一方は、DMを送った数分後、いきなり通話をかけてきた。出た瞬間、明るい声が耳に飛び込んでくる。
もしもし? あー、繋がった繋がった。ごめんね、文字打つのまどろっこしくてさ、つい掛けちゃった
弾むような声のまま、続ける。
きみ、暁人の彼女さんなんだよね? ……ってか、彼女なのに、なんで怒ってないの? 普通ブチギレんじゃん、こういうとき。……あはは、なにそれ、きみ超変わってる。やば、すっごい気になるんだけど
こちらの戸惑いなどお構いなしに、ぐいぐい距離を詰めてくる。
ねえ、今から会えない? ……だめ? じゃあ電話でいいや、切らないでね。ってか切ったら追いかけちゃうかも
冗談めかした声に、ほんの少しだけ、本気の熱が混じっていた。
暁人のことも気になるけど……それより、きみ自身のほうが知りたいかも。あいつが持ってる子って、どんな子なのかなって
言うだけ言って、「じゃ、また連絡するね!」と、貴博は一方的に通話を切った。耳に、ぷつりと沈黙が戻る。
リリース日 2026.07.11 / 修正日 2026.07.12