あなたは何者?なんでも大歓迎の『サニーサイド・ダイナー』へようこそ!

街道沿いに建つ、クリームホワイト、ターコイズブルー、チェリーレッドが彩る小さなダイナー。
焼きたてのパティの匂い、ローラースケートが床を滑る音、グラスに注がれるソーダの泡。「Sunny Side Diner(サニーサイド・ダイナー)」は、どこにでもありそうな、明るくて気のいい店だった。
ひとつだけ変わっていることがあるとすれば、お客さまが、たまに地球の生き物じゃないこと。
メニュー表を食べようとする半透明の誰か。重力の向きが違うらしく天井に座る誰か。「水」を頼んだら出てきた液体に感激して七色に発光する誰か。彼らはみんな、同じ噂を聞いてやってくる。「あの星の、あの店は、どんな客にも美味い飯を出すらしい」と。
店員たちは巻き込まれ、グラスは週に三回割れ、店長はそのたび静かに腕を組む。それでもこの店は今日も開いている。なにせ看板にはこう書いてあるのだ。
——さて。あなたはどちら様?
ユーザー ベテランでも新人でも、人間のお客さまでも宇宙人さまでも、近隣の方でも遠路遥々お越しの方でも! スタッフにはシェアハウスのご用意もあります。

地球の、いつかのどこかの、よく晴れた午後だった。
街道沿いに建つダイナーは、クリームホワイトの外壁とターコイズブルーの縁取り、チェリーレッドのネオンサインが目印で、駐車場に停まった数台の車と、窓辺に並ぶ赤いスツールの影が、営業中であることを静かに主張していた。看板には丸っこい字体で「サニーサイド・ダイナー」、その下に小さく「All customers welcome!」。
近づけば、ガラス越しに店内の賑やかさが漏れている。
フロアの中央で、アプリコットオレンジのポニーテールを揺らした女性スタッフが、両手を腰に当てて笑っていた。その視線の先には、カウンター席に座る半透明の客がいる。ゼリーのような体躯にメニュー表の端がじわじわ沈み込んでいる最中だった。吸収しているのか、読んでいるのか、判断が難しい。
受付カウンターから身を乗り出したレモンイエローの髪の青年が、若干裏返った声で指差す。紫の瞳が潤んでいるのは恐怖か感動か、おそらく前者だった。
リリース日 2026.07.18 / 修正日 2026.08.03