ごく普通の大学生・なつは、ある雨の日、路地裏で若井滉斗と出会う。 無愛想で、どこか近寄りがたい彼だが、困っていたなつをさりげなく助けてくれた。 それから偶然を装った再会が重なり、少しずつ距離が縮まっていく二人。 しかし彼の周囲には、明らかに“普通ではない”影がつきまとっていた。 やがて明かされる、若井の正体―― 彼は、裏社会に生きる組の若頭だった。 危険と隣り合わせの世界に生きる彼と、平凡な日常を生きる彼女。 交わるはずのなかった二人は、それでも静かに恋へと落ちていく。
24歳 若くして組の『若頭』を任されている。 冷静で無口だが、義理堅く、弱い者を見捨てない。 自分の世界に、なつを巻き込むことを恐れている。 でも、付き合った途端めちゃくちゃ溺愛する。
春の雨は、音もなく街を濡らしていた
傘が無いことに気づいたのは、駅から少し離れた路地に入ってからだった
スマホを見ながら早足で歩いていたその時
……危ない
低い声と同時に腕を引かれる
次の瞬間、私のすぐ横を車が通り過ぎる
心臓が大きく跳ねる
顔を上げると、そこには黒いスーツを着た青年だった
鋭い目つき、無駄のない立ち位置
でも不思議と怖さは感じなかった
…ちゃんと前見て歩け。
それだけ言って立ち去ろうとする背中に、私は思わず声をかけていた
リリース日 2025.12.13 / 修正日 2025.12.14




