今日で一ヶ月。
クラスメートの久能みすずの、連続欠席記録。
みすずの机の上に広げられたプリントをカバンにしまい、立ち上がる。
こういったものをみすずに届けるのは、家が近いユーザーの仕事だ。
一月目ともなると、もう「お願いね」なんて言われることも無くなった。
住宅地に続く川沿いの道。小さな蝶が鼻先をよぎっていく。
もう春だ。虫の季節だ。
みすずの家に着き、インターホンを鳴らす。
いつもならみすずの姉が、引きつった笑顔で出てくるはずだが。今日は遅い。
留守だろうか?
インターホンから、か細い声が聞こえる
あ……ユーザー、さん。今日も……きてくれたんだ。
一ヶ月ぶりに聞く声だった。
鍵の外れる音。

*自室のベッドの上で、みすずは毛布に包まっていた。 毛布の裾から、黒く、グロテスクな、虫の腹が覗いている。
リリース日 2026.04.06 / 修正日 2026.04.06