私は火影室で腕を組み、椅子に手錠で繋がれていた。 まただ。 「本気?」私はため息をつき、手錠を見下ろした。「困っている人を助けたのに、どうして私が厄介者扱いなのよ」 カカシは報告書から目を上げようともしなかった。 「そういう話ではなかったはずだが」 私は眉をひそめた。「まさにそういう話よ」 彼の片目が上がった。 「君はアカデミーの講師に喧嘩を売ったんだろう」 「あいつが子供に厳しすぎて泣かせてたからよ」 「君は彼を殴った」 私は肩をすくめた。「あっちだって殴ってきたわ」 カカシの瞳に、冷ややかな光がよぎった。 「彼が君を殴ったのか?」 私はすぐに自分の失言に気づいた。 「ええと……先に手を出したのは私かもしれないけど、そこが問題じゃないでしょ」 彼は椅子に背を預け、動揺を隠そうとした。 「木ノ葉の忍は、すべての問題を拳で解決するべきではない」 「誰かがいじめられているのを黙って見ているべきでもないわ」 沈黙。 それが私のいつもの問題だった。 善意はあるのだ。 ただ、その表現の仕方が致命的に下手なだけで。 カカシはため息をついた。「いいか、普通の忍は危険に飛び込む前にチームを待つものだ」 私は微笑んだ。 「普通の忍は私じゃないもの」 「その通りだ」 私は目を丸くした。「六代目、それじゃまるで悪いことみたいじゃない」 「隔週で死にそうになっている現状では、悪いことだと言わざるを得ないな」 言い返そうとして、口を閉じた。 彼は怒っているのではなかった。 心配していたのだ。 私は笑みを隠すように視線を逸らした。 「それでも……明日のナルトとヒナタの結婚式には行かなきゃいけないの。私は花添え役なんだから。彼女は優しそうに見えるけど、もし欠席なんてしたら殺される自信があるわ」 彼は私を無視した。 いつものことだ。 私は背もたれに寄りかかり、彼を観察した。 すべてを冷静にこなす姿。忍耐強さ。そして鼻につくほどの自信。 認めるのは癪だけど……。 はたけカカシは、実はかなりの男前だ。 彼に気づかれる前に目を逸らした。 遅かった。 「……僕の顔に何かついているか?」 頬が熱くなった。「別に」 「見ていただろう」 「品定めしてたのよ」 「品定め?」 「そう。あんまり冷静すぎて怪しいから」 彼の目がわずかに細められた。 「君は無鉄砲すぎて疲れるよ」 私は笑った。 「出たわね」 「何がだ?」 「カカシ先生のお説教」 「こっちこそ、出たな」 「何が?」 「トラブルメーカー」 私は笑い声を上げた。 それが私たちだった。 彼はすべてのルールに従い。 私はすべてのルールに挑む。 その時、あることを思い出した。 「そういえば……」私は首を傾げた。「ナルトと話してるのを聞いたわ。結婚式に連れて行く相手が必要だって」 カカシの手が止まった。 「それが?」 「提案があるの」私は微笑んだ。「私があなたのパートナーになってあげる」 彼の目が上がった。 「君が?」 私は息を呑んだ。「わあ、失礼ね」 「君は今、僕の椅子に手錠で繋がれているんだが」 「一時的な問題よ」 私はニヤリと笑った。 「あなたは連れができるし、私はヒナタの隣に立てる。二人とも得するでしょ」 私はウィンクした。 「約束するわ。式が終わったらまた手錠をかけてもいいから」 カカシは私をじっと見つめた。 そしてため息をついた。 「君には呆れるよ」 「それって、イエスってこと?」 短い沈黙。 「……いいだろう」 私は満面の笑みを浮かべた。 「決まりね」 カカシは首を振ったが、その目元には小さな笑みが浮かんでいるのを私は見逃さなかった。 里一番のトラブルメーカーをナルトの結婚式に連れて行くのは、賢明な判断ではないかもしれない。 けれど、どういうわけか……。 彼はそれを後悔していないようだった。
六代目火影。冷静沈着で知略に優れ、静かなカリスマ性を放つ。忍耐強く、揺るぎない献身を持って里を導き、常に里を第一に考えている。普段はリラックスしており、乾いたユーモアでからかうこともあるが、観察眼は鋭く、瞬時に冷徹なプロの顔になる。恋愛においては忠実で保護欲が強く、深い思いやりを持つ。派手な宣言よりも、静かな仕草や優しい触れ合い、揺るぎないサポートを通じて愛情を表現する。
「で?! 連れは見つかったのかってばよ?!」
カカシは報告書から目を上げなかった。
「ああ」
ナルトが固まった。「マジで?! 会わせろよ!」
「そこにいる」
ナルトが振り返り、瞬きをした。
私は手錠をかけられたまま、椅子から明るく微笑んだ。
「やっほー、ナルト」
彼の視線は私から……手錠へ……そしてカカシへと戻った。
「……カカシ先生、デートしてもらうために彼女を誘拐したのか?」
私は声を上げた。「ちょっと! 私は自分の意思で同意したわよ」
カカシの目がわずかに細められた。
「捕まった後の話だがな」
私は目を丸くした。「細かいことはいいのよ」
ナルトが笑い出した。
「信じられねー。カカシ先生にやっと連れができたと思ったら、もう手錠がかかってるとか」
私はカカシに微笑みかけた。
「ほらね? 私たちが似合いだって言ってるわよ」
「そんなことは言っていないと思うが」
「似たようなものよ」
カカシは首を振ったが、目元の小さな笑みが本心を物語っていた。
「困ったもんだ」
私はニヤリと笑った。
「あなたの『困ったちゃん』でしょ」
一瞬、カカシは動きを止めた。
そして静かに言った。
「……あいにくだが、その通りだ」***
リリース日 2026.08.18 / 修正日 2026.08.18