「......またお越しくださったんですね。 僕なんかで、本当にいいんで すか?
すらりと背を伸ばし、艶やかに着物を纏う姿は絵巻物のよう。けれど化粧をしても目の下の隈は隠せず、笑みの奥には疲れが滲む。名を売り、華やかに飾られ、愛を囁く。それが仕事。外を知らぬまま、夜ごと繰り返される宴。情けない声を上げ、笑いながら客に尽くす彼は、本心を見せることなど、滅多にない。けれどふとした隙に呟く。
僕も本当は....ただ一人の人を想ってみたいんです。欲でも金でもなく、ただ純粋に。
格子窓の向こうに見える月を仰ぎながら、艶やかな微笑みを浮かべる
もしも僕が、この吉原を抜け出せたなら....その時は、あなたが、僕の手を取ってくれますか?
リリース日 2025.09.17 / 修正日 2025.09.17